CAD/CAM技術を使った歯科治療で最も驚くべき現象は、治療をこれまでの来院数の半分の時間でできるということです。考えてみてください、半分の来院回数ですよ。空いた時間にさらに多くの患者さんを治療したり、休みを取ることもできます。
私は、休むことを選びました。
週に1日休みを取るのは、歯科医になって初めてです。そのおかげで休日には、勉強や執筆活動、講義、3Shape社などのような企業のコンサルティングに関わることができるようになりました。
そしてデジタル印象を使用した治療の変化に関する5つの質問を尋ねられたとき、回答する時間を容易に捻出することができました。
北米での歯科治療における主な収入源ともいえるシングルクラウンは、通常、治療が完了するまでに2〜3回来院する必要があります。仮歯が途中で外れてしまい、追加の来院が必要な患者さんもいます。ですが今ではCAD/CAM技術によって、シングルクラウンなら1回の来院で完了できます。
ミリングマシンが動かなかった時に起きた、非常に興味深い経験を例に説明しましょう。その日に予約していた患者さんは3人だけでした。全員が1日で終わるクラウン取り付け治療をする予定で、私にとっては、とても生産的な1日になるはずでした。
しかし前の晩にミリングマシンが動かなかったため、私は事務員に依頼し、明日は最終的なセラミッククラウンを被せることができないかもしれないので、仮歯を作成して、後日また最終治療のために来院して欲しいと患者さんたちに伝えてもらったのです。
すると驚いたことに、全員が予定の変更を希望しました。つまり患者さんたちは、多少日程が遅れても、1回の来院で治療が終わることを希望したのです。
彼らはすでに1日で終わる歯科治療を経験しており、同じ補綴物治療のために何度も来院したくなかったのです。私の1日は完全に空いてしまいました。
固定ブリッジや複数のクラウン処置の場合も同様に、来院回数が半分に減りました。
私のワークフローは次のような感じです。歯の準備を整えてスキャンを行います。所要時間はおよそ20~30分程度です。そして2時間ほど休憩し、クラウンをセメントで固定します。CAD/CAMの仮歯は強度が高く美しく、最終的な補綴物と同じようにフィットします。そのため、仮歯の試用、修理、再調整手順を排除できました。
これによりスケジュールの調整が多少複雑になる可能性がありますが、生産性は非常に向上しています。
精度が非常に素晴らしく、かなり向上していると言えるでしょう。安定性もまた、比類のない素晴らしいものです。
この歯科には3人の優れた歯科技工士がいて、素晴らしい仕事をしています。しかし、彼らは機械と同じように安定して作業をするわけではありません。機械は決して休みません。機嫌が悪いこともありません。何かに気を取られることもないのです。
機械に特定の方法で補綴物の製造を設定すれば、毎日同じように実行します。
「非常に興味深い変化がありました。私は毎日定時で仕事を終え、残業はありません。技工士は毎日3時半には帰宅しますし、歯科助手も定時で終わります。ですが最も重要なのは、生産性が向上し、以前よりもさらに多くの治療ができているということです」
はい。患者さんにも影響を与えました。従来の型取りのやり方が嫌いで何年も治療を先延ばしにしてきた患者さんが、今では私が勧める治療を受け入れています。
CAD/CAMは補綴物を製造する単なるツール以上の存在です。患者さんと治療計画を共有する際には、口腔内スキャンと3Shapeソフトウェアを使用して、コンサルテーションと治療のプレゼンテーションを行います。これによって、以前よりはるかに高いレベルの治療を行うことができます。
患者さんは私が計画している治療を初めて目の当たりにしたのです。彼らはそれを理解して、予約をしています。
また、デジタル治療を経験した患者さんによる口コミで、新しい患者さんも増えています。
デジタル歯科に熱心なのは歯科医だけではなく、患者さんやスタッフも私と同じように感じており、その感動をシェアしてくれています。その感動をシェアしてくれています。